そして詩を書いています。前回のお便りで「書くぞ小説!」宣言しといて、お前どうしたんだよと問われれば、そこからびっしり小説は書きまして、なんかもう異様な集中、人間やめつつ奮闘し、その間に小説以外の仕事関係で思いがけないアクシデントもあり、すでに入稿済みの原稿を全面リライト、再入稿、ゲラも戻して、あ、そういえばインタビュー取材も受けた、毎日新聞の「明治維新150年と東北」です、こちらもゲラの確認まで終えて、一昨日から静岡県浜松市に入っています。歴史ある「しずおか連詩の会」に招かれて、昨日より制作に入っているのです。詩人の野村喜和夫さん、カニエ・ナハさん、文月悠光さん、音楽家の小島ケイタニーラブくんと、僕、の計5人で、40篇の詩をぐりぐり連ねながら生む。で、今度の日曜日(2018年10月28日)に発表する(「2018年しずおか連詩の会 in 浜松」)、です。正直言って、これは緊張しますね。まだ僕は2篇しか書いてません。推敲のポイント?勘所?が小説とはぜんぜん違う。まあジャッジしているのは本人なのですが。どうなるんでしょうね。蒼ざめないで終えたいです。ところで詩と言えば、詩人の永方佑樹さんの『不在都市』が先週刊行なって、僕はその栞の文章を書かせていただきました。いい詩集だし、自分の文章もひとまず「古川の詩歌観」は言葉に換えてみたので、ご関心ある方はぜひ。あと、そうだ、来月11日には詩人の暁方ミセイさんの最新詩集『紫雲天気、駆け回る 岩手歩行詩篇』のイベントに出ます。宮沢賢治トークです。ご関心ある方は、どうぞ。というわけで、なんか詩づいてるんですが、あれですよ、詩はさっさとは書けんですよ。鍛えられます。そして日曜日の夜には東京に戻って、そこから通常モードに復帰、まずは発売を来月7日に控えた『とても短い長い歳月』(略称『短い長い』または『ポータブル・フルカワ』)のために仲間の力を借りてモノをひとつ作ります。そこから小説執筆に復帰、専心、来月8日からはそういえば九州です。こうやって飛び回って、あるいは長篇小説にダイブしすぎて、なんか物事がぜんぜん視界不明瞭になった時、やはり感動的にありがたいのは《他者の目》です。僕の、昨年からの大きな仕事(注:小説以外の)のひとつ、朗読イベント「フルカワヒデオ、戯曲を読む!」シリーズも、何人もの仲間の力を借りて大きな作品に仕上げつづけていったのですが、それを何度も鑑賞してくださった劇団ワワフラミンゴの鳥山フキさんが、このシリーズに焦点を絞って、大事な(というより大事すぎる)記録を「私的古川論」にご寄稿くださいました。感涙……すばらしい……というか面白い……。僕は、この「戯曲を読む!」シリーズを経なければ先月発表の自分のオリジナル戯曲『ローマ帝国の三島由紀夫』にたどりつけなかったのですが、その過程が、こんなにも生き生きと書き留められて、これに関しては百万言費やしても感謝しきれない。あ、そうだ、あと、このサイトの「小さな回顧展」コーナーにも、小さな爆弾(苦笑)落としてます。運営スタッフから当時の写真もリクエストされて、まーいいかーと写真も出してしまいました。こんなの展示していいのか。それと、最後に! 来週から、このお便りも新刊『短い長い』に連動させて、ややスタイル変えます。その名も「とても短い長いお便り」。うーん、芸がないですね。俺。
20181026