【400字以内小説】#4 輪廻転生もいろいろ

「輪廻転生もいろいろ」

あたしと彼との出会いは二年前にさかのぼります。あたしは会社で経理部に所属していて、彼は営業部の人間で、二歳年下で、あたしがある日、多忙過ぎてまともに昼食の時間がとれないものだからコンビニで買ってきたメキシコ産のバナナを齧っていたら、以来、あたしを「メキシコさん」と呼ぶようになりました。それで、あたしたちのデートは初回がタイ料理屋で、その出来事以来、あたしは彼を「トムヤム君」と呼ぶようになりました。一品めにトムヤムクンを注文したから、です。あたしとトムヤム君は相当いい感じで交際を続けたのですが、あたし、突然死しました。で、生まれ変わったらシャクトリムシでした。衝撃……。なんでだろう、と思ったら、トムヤム君が仕事で大至急メジャーが、つまり巻き尺が必要だったんですね。そんな時、あたしはシャクトリムシに転生して、名前どおりに計測の任務を果たし(屈伸しました)、彼のピンチを救ったのでした。やったね!

2019/08/22