【400字以内小説】#13 クリスマス・ストーリー version 1

「クリスマス・ストーリー version 1」

私は悩んだのだが、それはこんな出来事があったからだ。サンタクロースが来たのだけれど、すぐにはプレゼントを渡さない。「二種類あるんで、ホーホーホー、どっちかを選択しなさい」と私に二者択一することを迫った。そのサンタはじつに大きな袋をしょっていた。「第一の贈り物。それは袋です。この大きな袋のなかには、おんなじように大きな袋が入っているのだ。さて第二の贈り物。それは立派な牛です。しかも雌だから牛乳もとれるよ。さあ、どっち?」と尋ねられた。私は、まあ当たり前のことなのだけれども、第一のプレゼントには何が入っているんですか? と訊いたのだけれども、するとサンタはにやりとして、ホーホーホー、ホーホーホー! と叫び返すのだった。やっぱり雌牛を選ぶべきか。私は、ものすごく悩んだ。実話である。

2020/12/24