謹賀新年

謹賀新年

2020.12.26 – 2021.01.08 東京

自分で驚いてしまうことに、私は、今日この「現在地」を書かなければならないことを完全に失念していた。こういうのは珍しい。完全に(ある作品の)執筆に没頭してしまっていた。そういうわけで、なにはともあれ、明けましておめでとうございます。お元気ですか?

今日(2021/01/08)は、いろいろ言うのはやめようと思う。言えることはあるのだけれど。なにしろ緊急事態宣言が1都3県にまた出た。しかし、そういうことよりも、年末年始も書きつづけたりゲラを見つづけたりしながら、それでも、もうじき閉館になってしまう原美術館の『光—呼吸 時をすくう5人』を見に行けたこと、それがすばらしかったことだけ、書く。

予約制でしか入れないので、昨年12月にそうした。原美術館が「消える」というのは本当に寂しい。ほとんど精神のどこかの膜のようなものを引き裂かれるみたいに。でも、もう言ったけれども、展示がほんとうにすばらしかったのだ。私は、いま執筆でこういう状態だから、なるたけ不用意に「未知の」刺激を自分に入れないようにしている。でも、そんな私を、『光—呼吸』展はいっさいかき乱さなかった。ただただ深めた。執筆している作品との調和、響き合い、そうしたものを深化させた。

こんなことがあるのだ、と思った。見えないものがどんどん見える展示だ、と思った。この展示のことも、ここに原美術館があったことも、忘れないでおこうと思った。こうやって「消える物事」があるのだけれども、それは私たちが消さないかぎり、もしかしたら消えないんじゃないかな、と思った。

ふたたび。明けましておめでとうございます。そういう年に、しましょう。