日銀の大規模金融緩和策の一部修正に関して。と書き出したのですが、こんなイントロだと今回のお便りは誰も読んでくれないのでは……と真剣に不安になったので、普通の話をします。とうとう山場トリプル月に入りました。いまは、「ものすごい遠いところ」から降りてきて、このお便りを書いたり、今晩(2018年8月2日の夜)人に会おうとしています。その「ものすごい遠いところ」とは戯曲の世界で、僕は来週のウィークエンド前には確実にこの作品を脱稿させます。誰もが、上演しようと思えば上演できる、を唯一の縛りというか課題に、登場人物を絞り込んだ戯曲を書きはじめて数週間。すでに4分の3は書き上げました。あと1歩だ。しかし本当に上演が誰にでも……できるのか? うーむ。さておき。今月の他の山場は、まずはゲラがすでに届いている晩秋刊行の本です。DJ産土がミックスした古川日出男作品集(1巻本)、という、あれです。分厚いです。さらに書き下ろしの文章というのもたっぷり付けます。ということは、つまり、今月中に書きます。佐々木敦さんとの『「小説家」の二〇年 「小説」の一〇〇〇年/ササキアツシによるフルカワヒデオ』が出たばっかりで、次に出る本の話をするのも凄まじいですが、この2冊は、ある意味、対になる気がします。古川日出男は20年間に何を書いてきたのか、と、古川日出男は20年間に何を考えてきたのか、の。そして、これから何を書き、何を考えるか……の回答が、今月、おそらく2話分まとめて書いてしまうペースを求められるのではないか、と想像される『木木木木木木 おおきな森』です。9月と10月は国内外の移動が多いので、いっきに攻めるつもりです。そんなふうに山場トリプルなのですが、来月末の朗読劇「銀河鉄道の夜」世田谷美術館公演の準備も、スタッフ・ミーティング含めて、しっかり進めます。昨日(8月1日)にチケット予約開始となったのですが、なにか凄い勢いで席が埋まっているとのことなので、いちおう最後の宣伝を。演出ノートもひさびさに作ります。って、誰に説明してるんだ? まあいいや。下界に降りてきた今日は、必要があって『平家物語 犬王の巻』のこともずっと考えています。この本は昨年の5月に刊行しましたが、じつはおととしの大晦日(2016年12月31日)に脱稿しているので、記憶が遠い……。でも思い出します。それと、おとといの夕方、自宅のポストが破壊されているのを発見しました。がっかりです。その際に郵便物が奪われたりしていないことを祈ります。祈ると言えば日銀で、2パーセントの物価目標を実現しようとアレやコレやだと想像しますが、僕がいちばん思うのは、「過去のデータがこうだったから、それに対処して、前代未聞のアレとかコレ」では、そもそも無理だったのでは、ということです。だって、世界の状況が、前代未聞になってるのだから。そんなの、何年も前に読み切れたじゃん。で、普通、世界が「前代未聞の状況」になると、それを解決しようと、もっと「前代未聞の状況」を産む方向に《国家》というのは走ります。要するに「戦争を起こしてしまえばいい」ですね。これは、平安時代の終盤に《院政》なる未曾有の政治状況になったから、内戦〜武士政権の成立に行った、ことも証しているし、第1次&2次世界大戦も(地球規模で)証明していますが、いまの世の中、事前に「戦争はコストがかかりすぎる」も計算できてしまい、要するに前代未聞になり切れないので、そうそう簡単には戦争になりません。すると、どうなるのか? ある程度、僕はこの先というのが読めていますが、ああもう、お便りとしては長過ぎだな。この文章は。じゃあね。
20180802