お元気ですか。僕は体調が最悪です。というのも、最新刊にして作家デビュー20周年記念作品『ミライミライ』の刊行のためにプロモーション・ビデオを制作することにし(制作することに周囲の賛同を得)て、その撮影で、極限を体験したからです。都内でも撮影したのですが、北海道の、中標津〜羅臼でも撮影しました。気温は、零下10度をあっさり下回りました。その環境で、完全に「動物化」しました。テキストを読む、とは、テキストそのものを生きる、ということで、瞬時瞬時に「サバイバルのための反応」をしなければなりませんでした。そうした情景を、監督の河合宏樹くんが完全に追跡して、洩らさず撮っています。音響の宇波拓さんが、驚異の包容力で録っています。新潮社のみんなが凝視してエールを送っています。エールは送られましたが、やはり人は野獣ではなかった。人、すなわち自分は東京に戻って倒れました。それでも『平家物語』のトーク・イベントは、その2日後、明治大学の波戸岡景太さんのスマートさに支えられて満足できる内容になったのですから、大切なのはやはり「他者の援護、愛」です。愛されつづけて20年。という事実に気づくのに、だいたい16年か17年かかりました。「なんかスゲー本たてつづけに書いてもー、えー、ぜんぜん誰もー、なんだよー読んでくれねーよー」とグレていた時期も長かったです。しかし、それは誤解だった! 君が読んでる! なんて凄いことだ! などと呆然と口にしながらやっぱり、愛されつづけて20年。明日の仕事も明後日の仕事もこなして、週の半ばに出国、イギリスです。イギリス滞在中にサイトのオープンとなります。ちゃんとネットにコネクトできて、自分で閲覧できますように。念。
20180219