2023年6月22日 サマーバケーションEP EPサイズの解説 構造というもの 夏になると、本当にありがたいことに文庫の『サマーバケーションEP』に重版がかかることが多い。わずかな部数だけれども、こういう瞬間はひたすら純粋に感動する。今年もそうなったので、短い解説をここにアップする。つまりEP(45回転のレコード盤。シングル用)サイズだ。 この『サマーバケーションEP』は、全部で36章から成っている。全部、主人公の〈僕〉の語りである。ただ、じつは奇数章と偶数章続きを読む
2023年2月14日 ベルカの頃 2005年4月 これは『ベルカ、吠えないのか?』が刊行されるのに前後して、2005年4月に、ある媒体に掲載されたセルフ・レビューである。原稿にはいっさい手を加えていない。数字も、漢数字をアラビア数字には換えないでおく。ちなみにアンダーバー(_)に挟まれた文字、フレーズには傍点が振られる。脳内で変換してほしい。 * 今度、九作めの小説を上梓することになった。第一作を発表したのは一九九八年だか続きを読む
2022年12月15日 天音、そのオンとオフ #02 長篇詩のための読書会レポート 詩を読むことに抵抗がある人もいるのではないか、とも思って、私は読書会を企画した。2022年11月26日のこと続きを読む
2022年9月11日 サウンドトラック 20XX 2022年9月11日に あらゆる現代的な出来事は忘れられるのだ、との思いを、たとえば今日(2022年9月11日)のような日に感じる。〈9月11日(セプテンバー・イレブン)〉と言えば誰もが今後もずっと忘却することは不可能である、とその当時は確固と思えていたのに、それから21年が経った今日、ほとんど誰もその出来事、その、アメリカで起きた同時多発テロについて語っていない。それどころか、ニュースの見出しに「アメリカでも忘却されつつあって……」と続きを読む
2022年8月7日 コロナ時代の銀河・補 創りあげられる過程で 映像作品『コロナ時代の銀河』はその題名が示すように、コロナの時代には何ができない(とされている)のかをも主題としている。たとえば演劇の公演、音楽の公演ができない、という時期があった。いまもある。そして『コロナ時代の銀河』を撮影する前後にもあったので、私は「無観客の野外上演」というスタイルを選択した。だが『コロナ時代の銀河』とはそれだけのものではない。そのような「無観客の野外上演」が続きを読む
2022年4月20日 コロナ時代の銀河・註 停まっている時間の内側で 私たちのプロジェクト「朗読劇『銀河鉄道の夜』」は、2021年3月11日に映像作品『コロナ時代の銀河』を制作・公開し、その1年後、すなわち2022年3月11日にその英語字幕版と仏語字幕版の無料配信に入った。フランス語字幕のついたバージョンを、フランスの方々といっしょに観る機会を持ったので、その際に「このことは説明しておいたほうがいいな」と私が感じたことを、ここに書きつける。 続きを読む