2023年12月17日 三百人と本人 『女たち本人による現代語訳「裏切りの書」』等 文庫化された『女たち三百人の裏切りの書』には巻末に保坂和志さんとの対談が収録されている。これは2015年11月に行なわれたものだ。ここで私は、保坂さんに、 〈ストーリー的にはこの(続きを読む
2023年11月9日 の、すべて、のほんの少し #03 〈 〉の、すべて まず初めに恋愛小説が志向された。しかし、恋愛小説を現代に成立させるために何が必要なのか、を熟慮すると、現代には恋愛小説はほ続きを読む
2023年11月6日 の、すべて、のほんの少し #02 [ ]の、すべて 『の、すべて』の最初の楽章の、その基調とはいったい何か? これは「第一楽章『恋愛』」との扉を具えたパートであることから容易に察せられるように、恋愛小説であること、である。私は前作(『曼陀羅華X』)の刊行時から、「次作は軽やかな作品を発表したい」うんぬんと公言していて、たとえばそういうのは通信社のインタビュー記事などで活字になっていたのだが、その〈軽やかさ〉の体現がこの『の、すべて』の続きを読む
2023年6月22日 サマーバケーションEP EPサイズの解説 構造というもの 夏になると、本当にありがたいことに文庫の『サマーバケーションEP』に重版がかかることが多い。わずかな部数だけれども、こういう瞬間はひたすら純粋に感動する。今年もそうなったので、短い解説をここにアップする。つまりEP(45回転のレコード盤。シングル用)サイズだ。 この『サマーバケーションEP』は、全部で36章から成っている。全部、主人公の〈僕〉の語りである。ただ、じつは奇数章と偶数章続きを読む
2023年2月14日 ベルカの頃 2005年4月 これは『ベルカ、吠えないのか?』が刊行されるのに前後して、2005年4月に、ある媒体に掲載されたセルフ・レビューである。原稿にはいっさい手を加えていない。数字も、漢数字をアラビア数字には換えないでおく。ちなみにアンダーバー(_)に挟まれた文字、フレーズには傍点が振られる。脳内で変換してほしい。 * 今度、九作めの小説を上梓することになった。第一作を発表したのは一九九八年だか続きを読む
2022年12月15日 天音、そのオンとオフ #02 長篇詩のための読書会レポート 詩を読むことに抵抗がある人もいるのではないか、とも思って、私は読書会を企画した。2022年11月26日のこと続きを読む