戯曲は一週間後に活字になります。題名は『ローマ帝国の三島由紀夫』です。文芸誌「新潮」に一挙掲載されます。とことんやりました。どの程度とことんだったか? 雑誌の校了は昨日深夜(2018年8月29〜30日)だったのですが、その、ぎりぎりまで担当編集者のS君とともに踏ん張りました。というのも、僕は初校ゲラを普通に見て、宅配便で戻した後に、「違う。もっとできる。もっともっと、極限に走れる」と気づいて、大幅に書き換える(具体的には、書き足す)ことを決め、あらゆる予定をうっちゃって思考に没入し、「どう書くか」「さらに、どのように疾走させるか」をつきつめ、書き、それをデータで入稿し、翌日深夜に再校ゲラをもらい、さらにチェックし、翌々日(とは8月28日です)は丸1日没頭し、細部の細部に至るまで調整して、修正を入れ、かつ、冒頭部にも新たな要素を足し、そして、戻し、そして、昨晩(とは8月29日です)に3校ゲラの段階での疑問が出、確認し、回答し、……終わりました。完成しました。この『ローマ帝国の三島由紀夫』なるタイトルは、はったりではありません。かつ、三島なんて知らないよ、という人にも、堂々と、読んで楽しめるよ、と断言できます。そういうことではないのだ。そして、そういうことなのだ。徹底して勝負したのだ。今月上旬に脱稿した時、その段階で「完璧だろう」と思った作品が、ここまで……ここまで、前進した。こんなふうに雑誌掲載作品を、ぎりぎりまで搾って搾って豊饒にして実らせて、前に、前に進めたのは、初めてです。作家人生で、初です。やるしかなかった。死ぬかと思った。やった。「やり遂げられた」ことが、うれしいです。他の仕事の予定は遅れたけれども、だから今日(とは8月30日です)は普段の3倍、『木木木木木木 おおきな森』の執筆作業に力を入れています。いや、もう、最近は書いているだけで痩せそうです。って、このお便りを始めてから、痩せただの、太ったけどやっぱ痩せただの、そういうことばかり言ってるけど、大丈夫なのか? 大丈夫です。乗り切ってやる。この後、ひと山、ふた山、何週間か、連続します。というか4山? 5山? ただね、この作家デビュー20周年記念のウェブサイトも、開設半年を超えました。先週の土曜日(とは8月25日です。←しつこい)で、7カ月めに突入しました。そのことを、感動的だ、と思うのです。誰かが助けてくれている。スタッフたちが手を貸してくれている。みんないる。まだ、いるじゃん。たったひとりになったら、あきらめます。でも、そうじゃない。だから。やる。昨日なんて、『ローマ帝国の三島由紀夫』3校ゲラが出るまでの間、ずっと『おおきな森』のことを考えたり書いてたりしてて、それはラテンアメリカ文学のことだったのですが、そうしたら、入った喫茶店にマルケス、ボルヘス等の著作の訳者である野谷文昭さんがおられて、しかも××××の中篇を新訳中で、そのまま「ラテンアメリカ文学」談義ができて、こういう運、こういう縁に、本当に驚いてしまう。感動してしまう。だから、やれ。やれ。俺。では来週、「新潮」を読んでね。
20180830