そして書いています。いろんな人と会いながら、思いがけない再会もありながら(じつに30年ぶりの邂逅も!)、演劇をはじめ、さまざまなものを鑑賞しながら、堪能しながら、ふたたび執筆を続けています。連載小説『木木木木木木(おおきな森)』と並行しながら、いま、三田村真さんに手伝ってもらって、新しい作品のコンパイル準備にも入っています。三田村さんを知らない人には「?」な記述だと思いますが、三田村さんを知っている人にも「?」な記述だし、もしかしたら「!」な発言かもしれないですね。この作品は、書籍です。それも、かなり厚めの本です。この作業に、ゴールデンウィークはかかりっきりになります。と、ひとまず予告しておきます。さて、三田村さんの三田つながりで雑誌「三田文學」の話をすると、昨秋、詩人の永方佑樹さんのお力を借りて実現した講演が、ほぼ丸々(と言っていい感じで)最新号の誌面に収まりました。昨年から考えている自分なりの文学論が、かなり、きっちりとまとまったトークになっている気がします。そうしたものに興味のある方はぜひお手にとってください。誌面をこんなに提供くださった「三田文學」編集部にも感謝です。そして、論と言えば、このサイトに画家の近藤恵介くんが古川日出男論を書き下ろしてくれました! これ、凄いです。それこそ最新作(連載中)の『木木木木木木』まで視野に入れて、誰も書いたことのない角度から、ミットにバシッと収まる豪速球を投げています。感動。それと、論とか評つながりで『ミライミライ』の刊行後の話をすると、というか、そっちに移ると、刊行後にいろんなところで「なーるほどなー」という書評が出ていることも、本当にうれしいです。やはり、今年は、自分的にも最新作と20年間とを同時に考える、というか振り返る年なのです。来年の初めまで、ずっと続けるけどね。そのまま『ミライミライ』を振り返ると、僕はやっぱり、プロモーション・ビデオ(PV)の撮影、制作のことをしみじみ思いだします。少しあのPVのシリーズのことを解説すると、シリーズのナンバーがついているけれども、順番に観ろとか、観るべきものではないです。まあ、「観やすい」ものからナンバリングした、という話ではありますが(←ここは笑うところ?)、撮影した順番も、含まれる熱量の順位も、ナンバーには反映していません。いちばんお終いに撮ったのは Official Trailer 2 です。夜明けに、知床半島で、前夜は2時間ほどしか眠らず、というか寝られず、たぶん39度ほどの高熱を出し、悪寒に襲われ、もの凄い量の汗をかき、しかし、本気で撮影に臨んだ。この映像の、じつは少し前から、僕は朗読をはじめています。たしか野狐のリリックを、いわばニップノップ調で読んで、それから「みらいみらい……」の挿話に入った。監督の河合宏樹くんは、その全部を撮りました。瞬時の隙もなく追跡して、撮った。音響の宇波拓さんも、ずっとずっと、歩いて、ともに走って、僕たちといっしょに、その時間にいた。その時間を生きた。そうした時間が、いいや、そうした「場所」・空間も、ここに、映像として、いつでも生き返られる(=再生できる)形であることに、深謝します。そうなんだよなあ、30年前に世話になった人にすら、再び会える。僕たちは、いつだって生まれ直せるのかもしれない、とか、そんなことも思って、今日も書いてる。小説を。
20180419