【400字以内小説】#10 質問に対する答え2020

「質問に対する答え2020」

「あなたはクローン犬を愛せますか?」と質問されたのでこう答えた。 「いやあ、先日ね、ラップトップ型のコンピュータが壊れちゃいましてね。電源アダプタにつないでも、バッテリーがどうにも充電できんのです。それで、調べてもらったところ、基盤がガッツリやられておった。お陀仏だったのです。仕方がないですねえ。もちろん修理に出しましたよ。基板そのものの交換なんですから、これ、消費税込みで96,800円しました。しかしピ


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【400字以内小説】#9 クリスマスのサバイバリスト

「クリスマスのサバイバリスト」

その夜の午前二時頃、突如あなたは目を覚ます。憶えているのは昨夜、ケーキをたっぷり食べたことだけ。続いてあなたはハッとする。そこが自分の部屋ではないのだ。壁の色がおかしいし、天井の具合も妙だ。だいいち真夜中であるはずなのに明るい。ここはどこ? やがて、あなたは自分がチョコレートの家に閉じ込められているという事実を知る。愕然とする。出口を探す。が、ない。どの窓も開かない。玄関の扉もだ。どうしたらいいのか? 苦


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【古川日出男の番外地】#1 ナンバーガール

「ナンバーガール」

江東区豊洲6丁目・番外地 2004年に私は『ボディ・アンド・ソウル』という奇妙な小説を発表した。主人公はフルカワヒデオで、私・古川が実際に体験した出来事が多々含まれていた。この小説の第1章は、そして、次の文章で終わっている。「あさってナンバーガールが解散する」。このフレーズを含んだ挿話は、2002年11月28日のお台場でのライブを描写していた。ナンバーガールの、だ。それから17年が経った。私は


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【400字以内小説】#8 文字の声

「文字の声」

たとえば文字からモジやモンジという響きが聞こえても、そんなには驚かない。けど、たとえばタマゴという声が聞こえたら、やっぱり驚愕する。あたしは驚愕した。文字(という二文字)を見ていたら、いきなりタマゴ、タマゴって脳内に響いたから。うわぁ。こんなんじゃオチオチ読書もできない。そういうわけで、あたしは最初、ふてくされて不良になった。そのうち、こんなんじゃあ立派な大人になれないなあ、お嫁さんにもいけないよと考え出して(ちなみに当時


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