【400字以内小説】#3 ネコ目ギター科ノイズ系

「ネコ目ギター科ノイズ系」

おととい、私は死んだ。交通事故だった。けれども私は自分が即死したことに気づけなかったので、今朝になって自宅に戻った。私にとっての一番の問題は、問題というよりも「謎は」なのだけれども、では私は帰宅に至るまでの一日半の間どこにいたのか、だった。すると気がついた。私はネコをやっていたのだった。人にかまわれ、ネズミを追い……。その幸福に、私は感謝した。脳裡に轟音が響いた。 2019/07/20


続きを読む

【400字以内小説】#2 緊急事態

「緊急事態」

俺のアパートメントの玄関前に不審な男が立っていた。背広姿で、普段の俺はそんなタイプの男になんて縁がない。なんだ、こいつ? しかも俺がその歩みを進めるや(つまり、近づいたら、だ)、いかにもプロでございってな感じで気配を察して、こちらをふり返る。それから俺の目を見、俺の名を呼び、咳払いもなしに「警察のものですが」と言った。そんで、手帳のようなものを開いて、掲げた。おい、それって警察手帳かよ? しかしだぜ、おい。俺はこれまで生き


続きを読む

【400字以内小説】#1 もしも、猫が

「もしも、猫が」

その日、十数年前に逝った猫が電話をかけてきた。しかも猫はアメリカ人になっていて英語で話した。最初に妻が電話に出て(自宅の固定電話が鳴ったのだ)、必死に英語で応対した。それから私が受話器を取り、やはり懸命に話した。ひと言だけ私らしい英語で紡げた。こうだった…… No, I won’t look for it, just see it. (大丈夫、無理に探したりしない。死んだお前がいる世界は、うん、あるんだから) <


続きを読む